お花を贈る習慣(お祝いのスタンド花)

お花を贈る習慣が身近な人とそうでない人が世の中にいるのは当たり前なんだけど、
お花を贈るという行為の中に、目的や想いがある習慣は、残していけたらいいなぁと感じることが時々あります。

今日はお祝い花、特にスタンド花について書いてみたいと思います。

少し前に、キングコングの西野さんが開店祝いやお祝いなどに贈るスタンド花はやめようという投稿をSNSで書いていて、炎上しているのを見ました。

その西野さんの投稿もそうでしたが、反論して炎上しているコメント欄…。
それを読んで、とっても違和感を感じた私です。

地域によって、その習慣や文化の違いはあるかもしれませんが
お祝いのスタンド花って、
お祝いされる対象の人やお店へ『お祝いのプレゼント』として贈るお花というよりは、
その対象のお店やイベントに来てくださった『お客様やご近所さんへのご挨拶やお礼』として使って、これから可愛がってもらってねという目的のお花です。

つまりお祝いされる人やお店が独り占めして楽しむものではないのです。

お祝いのスタンド花をお届けするお花屋さんでも、配達する方がそのことを知らない場合、お届け先で言われた通りの場所に設置してしまうかもしれないけれど、
本当ならそうではなく、こんな目的のお花なので、どこなら来てくださった方が手に取りやすいかをアドバイスできると良いとおもいます。

そもそもどんな仕事であれ
言われたことをそのままただやっただけで終わりなんていう仕事では、これからAIに仕事を取られてしまいます。
そういう単純なサービスで満足される時代ではないのです、これからは。

お届け先でひとこと
スタンド花の目的やや扱い方を伝えて欲しいです。

スタンド花の目的を説明する時間がなかったとしても
お花屋さんはお届けするとき
紙や輪ゴムなどを持っていくだけで、
受け取った方は自分へのお花だけど自分だけで楽しむものとは違うみたいだということに気がつきます。

先日とあるイベントに足を運んだ際、とっても奥まったところにお祝いのスタンド花が飾ってあるのを見ました。

私が行ったのは数日あるイベントのうちの後半日だったのですが、そのお花はお届け日以降吸水スポンジにお水を足されることもなかったのか、グリーンの先の方が萎れていました。

お水を足してあげることや
お花を持ち帰ってもらっていいということが
多分…絶対説明されてないだろう状態に
悲しくなってしまいました。

持ち帰り用の紙は、本来はお花屋さんに準備してきていただきたい物ですが、人間がする仕事ですから、ミスやハプニングもあります。
だから、お祝いのお花をいただいたら、
包む紙や輪ゴムなどの準備がなかった場合は
お花をいただいた方は怒ったりイライラしたりせずに
ご自身でスタンド花の近くにお客様がお花を持ち帰るための紙を用意してください。

こんな時代ですから、
綺麗な紙じゃなくて
新聞で充分いいと思います。
輪ゴムと紙をスタンド花の近くに置いて、
「ご自由にどうぞ」
「縁起物なので、良かったらお持ち帰りください」
と来てくださった方へお声かけしてください。

そう!
縁起物なんです。

来てくださった方みんな、幸せのお裾分けなら嬉しいし、ご近所さんへのご挨拶にもなるし、新しくオープンしたお店やイベントを開催している方が縁起物を分けてくださる方なんだって思ったら、頂いたら人は悪い気はしないし、ファンになると思いますし、そしたらいいこと尽くめでしょう?

先日見たスタンド花は、奥まったところにあるし、萎れているし、1本もお持ち帰りもされていないし、なんとも辛そうでした。

なんだかこのお花を飾っている方がどれだけ美しくしていても、花ひとつに気を遣えない人に見えるし、ケチな人にも映りますし、損だと思うんです。
ちょっと大袈裟?

こんな負のループにはまると
西野さんが書いていたように、
スタンド花なんてもらっても邪魔になるという感想になるよねって思いました。

邪魔にしちゃ、あまりにももったいないよね。

それから余談になりますが、
スタンド花と違って、お店やイベントなどをした人にプレゼントされているのが
お祝いのアレンジメント。

あれは頂いたらすぐにセロファンは外して下さい。

セロファンがある方が、プレゼント感があるかもしれませんが
セロファンをかぶったままだとお花も葉っぱも呼吸しているから蒸れてしまい、結果お花も葉っぱも萎れてしまいます。

Tataはお祝いのアレンジメントはセロファンは使わずにお届けいたします。
すぐにお水をあげられるようにしてお届けいたします。

私たち人間も
子どもの頃に「ナイロン袋をかぶって遊んだらダメだよ」と教えられましたよね。

同じです。同じ。

花仕事をする私たちは
目的や扱い方を丁寧にお客様にお伝えしなければいけない立場です。

花や自然への敬意を忘れずに、日本の文化や習慣を大切に、これからも花仕事をしていきます。

しかしこんなに熱く語っておいて、Tataは現在まだスタンド花のご注文は承っておりません。
Tataはレッスン主流のアトリエなので、販売もオーダーをいただいてから仕入れている小さな小さな花屋です。

でも、いずれはスタンド花もご用意できるよう、あの辛そうなスタンド花をみて決意いたしました。
これから準備していきたいと思います。

スタンド花、もしもどこかで見かけたら、ちゃんとそのお店を利用して、そのあと
「縁起物、差し支えなければ分けていただいていいですか?」って聞いてみてくださいね。

良いこと
良い習慣はどんどん広げていきましょう^_^

Tata 【フレンチスタイル花教室】

静岡県西部地区を拠点に店舗を持たず花の仕事をしています(教室・販売・装花)。 お花と触れ合う時間が日常を優しく豊かにすることを伝える、環境に配慮しながら花と自然を楽しむことを伝えています。