それはニゲラだね

去年の夏
私がお花を持っていると
やたらと話しかけてくれるおばあちゃんがいたんだけど
最近はレッスンの後に余った花を持っていることが少なかったからか
私の姿を見かけても
会釈ぐらいしかされなくなっていたんだけど、
昨日久しぶりに話しかけられました。

元気そうでよかった。
自粛期間は元気にしてたかな?

その日おばあちゃんは
どこから抜いてきたのか
花が終わった根っこのついたニゲラを持っていて
嬉しそうでした。
「おばあちゃん、ニゲラだね、それ、実だから、中に種入ってるよ」って言ったら、
とても自慢げに
「これ、そんな名前ついてるだね〜。花屋さんが知ってる花ならいい花だ」
と笑っていました。
零れ種が飛んで、どこかで咲いていたのかな。
来年おばあちゃんのお庭にニゲラが咲きますように。


最近は、私が子どもの頃のように、空き地に自由に入ることも、
道に生えている草花を自由に抜くことも
「私有地」「所有者」という言葉が頭の中にチラついて、なかなかできない時代になりました。

おばあちゃんの笑顔を見て
学校からの帰り道、近道と言って空き地を横切って友達と花を摘んで帰ったこと、
「秘密基地に集合!」と空き家の庭で栗拾いしたことを懐かしく思い出しました。

子どもだった私も
昨日のおばあちゃんみたいな顔をして
自慢げに花や栗を持って帰ったんだろうな。

私がお花が好きな原点は
もしかしたらそこかも。
だとしたら
小さな子どもたちに
そんな体験をさせられる
何かをしたいなぁ。

おばあちゃんの庭には来年何色のニゲラがさくかな?

Tata 【フレンチスタイル花教室】

静岡県西部地区を拠点に店舗を持たず花の仕事をしています(教室・販売・装花)。 お花と触れ合う時間が日常を優しく豊かにすることを伝える、環境に配慮しながら花と自然を楽しむことを伝えています。